【工作】エコノミーキットを作ろう!(407A篇)Vol.2

毎度ご愛読ありがとうございます、営業部の加藤デス。

「エコノミーキットの作り方」と題しまして、「407A:阪急通勤車」の工作手順をご紹介しています。Vol.2では塗装から仕上げに向けて進めていこうと思います。

▲407Aで作れる形式はいくつかありますが、作例では5300系(のうち、4両)としています。

前回の記事はこちら

いよいよ塗装です。

塗装には3通りの方法があります。ひとつは缶スプレー、もうひとつはエアブラシ、そして筆塗り。

なお、ボディを筆塗りするということはあまりお勧めできませんので今回は割愛いたしますが、のちほど色差しの工程があるので、改めてご案内します。

▲ボディを塗装したところです。

ここでスプレー塗装される方にワンポイントアドバイスをしておきましょうか。

スプレーの吹き付けは、対象物の塗りたい面に対して「色が乗るまで吹き付ける」のはNGです。対象物の外からサッ、サッと一方向に何度か吹き付けるのがコツです。ぼってりと厚塗りしてしまうとディテールが埋まってしまいますし、乾きません。薄く何回かに分けて吹くときれいに仕上がります。

エアブラシの場合でも重ねて吹くところは同じです。

▲作例はエアブラシでの塗装です。

さて、今度はエアブラシ塗装の場合のコツです。塗り終わった後に表面が妙にザラつく、ぼってりと塗膜が厚くなる、ダマなる…という方は希釈の割合が間違っているのが原因です。

塗料1に対して、うすめ液3ぐらいの割合にして吹いてみてください。塗料自体はかなりシャバシャバになりますが全く問題ありません。もちろんこれだけ希釈すると1回吹きでは薄い色にしかなりません。要は重ね塗りして少しずつ色を乗せていくことです。3回から4回ほど吹けば色が乗ります。

◇塗装が不安な場合は、いきなり本番で塗り始める前に、プラ板やジャンクボディなどで試し塗や練習をしておきましょう。

▲さてさて、ボディの基本塗装が終わったら窓サッシなどの色差しです。これがまた実に骨の折れる工程でして…と言ってしまうと完成できませんよね。ここは意を決して無心になって黙々と…(あくまでもアタシ個人の心境の吐露ですからね)。

特にこの407A、銀色で塗るところがとにかく多いです。前面窓、客窓、幌枠、クツズリ、戸当たり、ドアレール…特にドアレールはモールドも細く、非常に難しいところです。エナメル塗料なら失敗しても塗りなおしができるので、アクリルラッカー系ではリスクを感じる方はエナメル塗料で塗ってみてください。

烏口を使うのも手ですが、アタシの場合は面相筆1本で仕上げています。ここは好みで。

塗り方のコツ、これといって正しいやり方はありませんが、なるべく細めの面相筆(毛羽立ってしまった使い古しはNG)を1本用意しましょう。画像の様に1辺のみを先に色入れし、90度ずつ回しながら同じ向きに筆を動かしたほうが楽です。窓枠の表面だけ塗るのもよし、窓枠の奥行まで塗るのもよし…です。

なお、戸当たりやドアレールへの色差しはよほど慎重にやるならマスキングテープである程度養生したほうがいいでしょう。文面ではなかなか伝えにくいところですが、こればかりは場数を踏んで技術を身に着けるしかありません。(でいいのかしら?!)

ボディの色差しが終わったらここでクリアーコートの出番です。

▲GMのNo.40(光沢)を使います。エアブラシの場合は3.5倍ぐらいの希釈が望ましいです。兎にも角にも希釈が重要です。

「レタリングもしてないのにもうクリアーを吹くンですか?」と思うかもしれませんが、ここでクリアーを吹く理由は、「レタリングの際にせっかく色差ししておいた銀色が剝がれていくのを防ぐため」です。レタリングの後でもう一度軽くクリアーを吹いておけば完璧でしょう。

▲と、いくらか正攻法で行っても、阪急特有のピッカピカボディはなかなか一筋縄では再現が難しいのも事実です。どこまでこだわるかはユーザーに任せることになりますが、カーモデルなどでは一般的な「研ぎ出し」という工程を踏むのもアリかもしれません。クリアを吹いたら2000番ぐらいのペーパーで水をつけながらひたすら磨き上げるというものです。

この作例ではそこまでは行いませんでした。

ボディが塗れたら窓セルの貼りこみです。

▲アタシの作例ではもはや定番となった両面テープ。太さはどれでも構いません。

窓ガラスは付属の塩ビガラスを使用します。プラ素材ではないのでセメント系接着剤で溶着することができません。そのためゴム系接着剤を使うのがごく一般的ともいわれていますが…アタシの場合は指にくっついたりはみ出した後始末が面倒なので、もっぱら両面テープを使っています。

▲エコノミーキットの殆どがこのこの塩化ビニールの板ガラス。名称の通りプラ素材ではなく「ビニール」です。

▲両面テープに塩ビ板の端(0.5~1㎜程度の巾)を貼ります。これを2枚同時に行い、切り出しては反対側に貼って…を繰り返します。

▲このようなものを必要枚数作ったら…

▲ボディ裏のくぼみに合った寸法で適宜切り出して貼り付けます。指が汚れる心配がないのでなかなか快適!

くぼみの天地寸法が違う個所もあるので、臨機応変で切り出します。

▲窓も貼り終わればもう完成間近ですね。レタリングの工程は省略していますが、転写した後は必ず圧着してください。台紙の裏面やタック紙を当ててバーニッシャーで少し強めに擦れば圧着できます。これをやらないと簡単に剝がれてしまいます。

配管の色差しや屋上機器などを接着していきます。クーラーは位置の調整ができるようにゴム系接着剤を使用しています。ヒューズボックスはゴム系だと脱落してしまいますので、セメント系接着剤を推奨します。絶対に外れないようにする場合は取り付け足に0.4㎜の真鍮線を通すという技術もあります。

▲クーラーにも色を指してやると立体感が出ます。墨入れ用のエナメル塗料でファンやルーバーに色を入れ、乾いたらはみ出したところをエナメル用溶剤で拭き取ります。エナメル塗料はラッカー系塗料を侵食しないので、下地の色がダメになることはありません。

▲こってり加工したわけではありませんが、なかなか納得の出来上がりになりました。そうそう、このキットは前面窓がはめ込みガラスです。

これでひとまず完成!

 

最後に、完成品が主流になっている現代でもエコノミーキットは一定のニーズがあり、人気不人気の製品こそあるものの定期的な生産があります。特に不思議な現象としてはNo.416の東武10000型や103系といった、完成品があるにもかかわらず売れ続けている製品があることです。それだけの需要があるということは、今もってキットというジャンルがまだまだ風化していないことを意味しているわけで、鉄道模型の楽しみ方としてこれからも皆様に提供し続けていけたらと願っています。

 

 

デハ!

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