西武新2000系(西武鉄道創立110周年記念トレイン)と武蔵野鉄道デハ5560形のこと

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写真:浜厚真

西武池袋線の新2000系2069編成が茶色になりました。
西武鉄道創立110周年を記念して、
武蔵野鉄道時代のデハ5560形をイメージした
リバイバルカラーとのこと。

西武池袋線の前身である武蔵野鉄道は1915年に
池袋~飯能間を蒸機鉄道として開業、
著しい乗客数の伸びにより1922年から1925年にかけて
池袋~飯能間を電化、デハ100形をはじめとする
木造電車が走り始めます。

その後1926年の半鋼製のデハ320(→蒲原モハ71)を経て
吾野開業を控えた1928年に12両の2ドア車を新製、
このうち4両を全鋼製車体の広窓仕様とし、
デハ5560形・サハ5660形と形式を分けたものです。
(名前はサハですが制御車です)


武蔵野鉄道デハ5560形

さてデハ5560形といえば、屋根が深く窓の天地が小さい、
重厚な「川造スタイル」に2枚ドアー、扉間に幅広の一段下降窓を
4枚配した独特な車(よくよく見ると国鉄417系に近い)で、
西武電車の歴史を勉強した方であれば一度は目にした事が
あるのではと思います。

別にこの車でなくても、武蔵野鉄道時代であれば
すべからくブドー色であったわけですが、
その中からデハ5560形をモチーフにしたのはおそらく
新2000系の大きな一段下降窓に因んだのであろうと推察します。


西武鉄道モハ241形(ツートン)

デハ5560形は戦後の1948年、モハ241形・クハ1241形と名を変え、
1954年是政線への転属、1955年には3ドア化が行われ
窓の数と幅はそのままに全ての窓柱を詰めて
中央扉を増設、プレスドアーとなり池袋線へ返り咲きます。


西武鉄道モハ241形(3扉)

しかしあまり使用されなかったとの事で
1958年には2代目501系に車籍だけを譲り、
車体と主要機器は近江鉄道に譲渡され、
国鉄台車と組み合わせて赤電色のモハ133形・クハ1216形となります。


近江鉄道モハ133形(譲渡初期)


近江鉄道モハ133形(晩年)

1966~70年にかけて、またもや車籍のみを元京急ショーティの
モハ135・クハ1210と、かわいらしい3ドア車
モハ501・クハ1501に引き継ぐ形で「事実上廃車」と
なったそうです(すごい言葉ですね)。


近江鉄道モハ501 写真:otorikk

車籍を引き継いだ(と言ってもその車籍も引き継いだものですが)
モハ501は近年まで彦根に残っていましたから、
比較的最近までデハ5560形の歴史が間接的にせよ
残っていた・・・というのは少々無理があるでしょうか。

新2000系の話に元京急のショーティ族まで出てきてしまう辺りが
西武電車らしさなのかもしれません。

そんなわけで西武モハ241形としては黄色と茶色のツートンまでは
存在した事になりますので、新2000系のツートンも期待・・・
するまでもなく、早速黄色い2連を増結して運用され、
「色味的に」ツートンは実現してしまった模様です。
(今朝偶然池袋で目撃しました)

<50746>西武新2000系(西武鉄道創立110周年記念トレイン)8両編成セット(動力付き)…¥37,070-(税込価格)
発売は6月を予定しています。

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